ときめきくらしびと
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第10回 荒井博子さん|楽しい一日を積み重ねるー答えは焦らず、時を待つ

くらしきぬのお客様とのおしゃべりを通じて、日々の暮らしの中で「ときめき」を見つけるコツを探る『ときめきくらしびと』。第10回は、アメリカのシューズブランド「dansko」のブランドディレクター、荒井博子さんにお話を伺いました。

ときめきくらしびと 第10回 荒井博子さん

頭のてっぺんから足先までセンスが光る博子さん。身に着けているものひとつひとつがとても自然に似合っていて、「おしゃれな人ってこういう人」と思ってしまいます。それでいて、相手の心をほぐしてくれる安心感さえある。柔らかい光を纏う博子さんに、人生という旅を楽しむ秘訣について伺いました。

プロフィール

荒井博子さん|東京都在住、アメリカのシューズブランド「dansko(ダンスコ)」ブランドディレクター。ご主人と渡米した先で、ペンシルバニア州のシューズブランド・ダンスコと出会い、日本に広めるために帰国。友人と夫婦3人で日本総輸入元の会社を立ち上げ、ダンスコの魅力を伝え続ける。最近ハマっているものは、スパイファミリー。

長年の夢を捨てて選んだ、アメリカ留学

  • アメリカでダンスコに出会われたということですが、渡米される前はどんな風に過ごされていたのでしょうか。

    夢だった洋服のデザイナーとして就職しやっと楽しく働き始めたころ、当時付き合っていた彼氏、その後結婚するのですがアメリカに行くと言い出してとても悩みました。アメリカも楽しそうじゃないですか(笑)アメリカに行ってみたいという気持ちの方が強かったので、心を決めました。人生の転機ですね。よくあのとき辞められたなって今でも思うんですけど、今行かないとこの先もずっと行けない気がしたんだと思いますシアトルに留学して、その後日本に一時帰国して25歳で結婚、またアメリカに戻りました

  • 一大決心ですね。アメリカの生活はいかがでしたか?

    大変だったけど、すべてが新鮮で楽しかったです。ダンスコとの出会いは、アルバイト先の日本食レストランでした。小上がりがあるような店内だったのですが、働いている人がみんなダンスコを履いていたんです。周りの人に勧められて私も履いてみたら、長時間立っていても疲れにくいし、スッと脱ぎ履きしやすい。「なんかいいな」と思いました。

  • 「なんかいいな」と感じられてから、日本で販売したいと思うまでにはどんな心境の変化があったのでしょうか?

    私、物が売れていく様を見るのが好きなんです。「これは絶対に売れちゃいそう」という物を見つけてはどんな戦略で売れていくのかを見て、勝手に応援したりして、「ほらやっぱり売れた」って見届けるのが趣味なんですよ(笑)スターバックスもまだアメリカにも数店しかないころを見ていて、それがアメリカ中に広まって、日本に上陸して・・・という流れをニヤニヤしながら観察していました。日頃からそういう目線で世の中を見ていて、これは絶対にいけるなと確信を持てたのがダンスコでした

取材場所は、ダンスコのオフィスにて。雨が降っていたことを忘れるくらい、オフィスにはさわやかな空気が漂う。

ベストな答えが出るまで待ってみる

  • そんな博子さんにとって、ダンスコのブランドディレクターは天職ですね!

    履いた瞬間にビビビと来た!というわけではないんですけど、主人と話すうちに「そういえばダンスコは日本にないね」という話になり、ダンスコを日本に広めていく道筋を何となく思い描くことができました。

    当時は、アメリカに永住する前提ですべて考えていて、グリーンカード(永住権)も取れていたので、日本に帰ってくる選択肢はなかったはずなんです。でも、どうしたら一番楽しそうかな?っていう話し合いを続けていたら、日本にダンスコを持ち帰ることになりました

  • 人生第二の転機ですね。旦那様とはかなり話し合われたんですか?

    真面目に向き合って「話し合い」という形ではないけど、作業しながら話したり、思いついた瞬間にとりあえず口に出したり、こまめに話している感じでしょうか。

  • こまめなコミュニケーションが大事ですよね。意見が食い違ったときはどのようにしていますか?

    たとえ反対の意見を言っても、一旦「そうだよね」って言って、少し時間を置いてみます。お互いの考えが一致する時まで待つ。すると大体時間が解決してくれるから、すぐに結論を出さなくてもいいのかなと。逆に焦って結論を出すと、ベストではない答えになってしまいそうだなと思います。

  • 勝手ながら、決断が速い印象を持っていました。博子さんが「すぐに決めなくても」と言ってくださると、なんだか安心します。

    もちろん今この瞬間に掴まなくちゃいけないチャンスもありますが、基本的にみんなのゴーサインが出た時じゃないとやらない方がいいのかなと思います。でも会社を始めた当初はすごく必死だったので、思いついたことはすぐにやっていたかもしれません。それを信じて委ねてくれたのがよかったのかもしれませんね。

アメリカ生活で得た、大胆な自分

  • 日本に帰ってこられて、ダンスコの販売は最初から順調だったのでしょうか?

    最初は大変でした。まずは展示会を開こうと思ったんだけど、10年もアメリカにいたので知り合いがほとんどいない。今みたいに昔の友達とInstagramで繋がっていられたわけでもないし、友達と仕事は切り分けたいので、ゼロから人脈づくりを始めました。展示会を開いたのに誰ひとり来ないという、そんなレベルでした(笑)

  • SNSを使って発信できる今とは状況が違いますよね。そんなとき、どう乗り越えられたんでしょうか。

    アメリカに10年いたということをプラスに捉えれば、しがらみもなく、やりたいことを好きなようにできるということ。いい側面を見て、チャレンジしてみたいと思いました。自分でも気付かないうちに、性格がアメリカナイズされていたんですね(笑)ビジネスを始めるという大きなチャレンジができたのも、アメリカ文化に触れられたから。アメリカではアパートを借りるにも病院に行くにも苦労していたので、日本で日本語を喋れる日本人の私がビジネスを始めるのは、アメリカで同じことをやるよりもだいぶ楽だと思えたんです。

  • アメリカで苦労したおかげで、色々なハードルを低く感じられたんですね。

    アメリカでは、問題にぶつかるたびに調べてどうにかするという繰り返しでした。でも生活に必要だから覚えていくんです。やるしかない状況に追い込むのが一番速いですよね。

  • ダンスコが軌道に乗り始めたきっかけは何だったんですか?

    今は閉店してしまったんですが、原宿に「QUICO (キコ)」っていうお店があって、そこのオーナーさんに話しかけたのがきっと一番のきっかけです。すぐにダンスコのイベントを企画してくださって、それがプレスの方やスタイリストさんにダンスコを知っていただける機会になりました。

ダンスコはもっと自由でいい

  • 博子さんは日々、どんなことにときめきますか?

    旅行に行っていい景色見た時とか、ものすごくかわいいものを見たときとか、たくさんときめきます。年に何度も宮古島に行っていて、その時に見た海とか夕日にときめいています。きっと常にときめくものを探しているんじゃないかな

▲ 宮古島で釣りをされたときの青い海と空。

  • たくさんときめくために健康は基盤だと思うのですが、どのようなことに気をつけていますか?

    靴下を4枚履いたり腹巻きをつけたり、半身浴もずっとやっています。水もよく飲むし、野菜も食べるし、わりとそういうのが好きなんです。

  • 冷えとりさんのお手本のようです・・・!

    冷えとりはもう10年くらい続けています。『マーマーマガジン』も同じぐらいに会社を立ち上げていて、勝手に応援していた会社のひとつなんですけど(笑)『マーマーマガジン』で冷えとり靴下をおすすめしていて、私は面倒くさがり屋なのと、何となく素足の方が靴が可愛く履けるような気がしていて、自分には合わないわって思っていました。

    でも当時、寝ているときに足をつるのが悩みで。冷えが原因と聞いて冷えとり靴下を試してみたら、解消されたんです。それからちゃんと履くようになりました。続けているとどんどん絹の気持ちよさが実感できて、今では靴下は4枚履かずにはいられなくなりました。真夏だろうと、沖縄でもハワイでも、靴下は4枚。もれなく、かかとが赤ちゃんみたいにツルツルになったのはうれしい特典ですよね!寝るときはシルク手袋も着けています。

    ※『マーマーマガジン』・・・服部みれいさんが発行人の不定期刊雑誌。『マーマーマガジン』で冷えとりを知った方も多いはず。

毎晩欠かせないというシルク手袋。シルク100%で、働き者の手をやさしく労ります。

  • 冷えとり靴下はダンスコの靴とも本当に相性がいいですよね。私は冷えとり靴下を始めたとき、どんな靴を合わせたらいいのかわからなかったのですが、ダンスコを履いてみたらしっくり合いました。

    ダンスコは意外とどんな洋服にも合うんです。アメリカでは、ダンスコを履いている人って日本よりも幅広くて、すごくおしゃれな人もいれば、スウェットの上下でスーパーにいるようなおばちゃんも履いているんです(笑)私はそんな風に、ダンスコを自由に履いていただきたいと思っています。ダンスコはかかとをパカパカしながら甲で支える作りなので、素足で履いても空気が循環してムレないんですよ。

くらしきぬのパイル靴下とダンスコの「BERRY」でコーディネートばっちり。「BERRY」はくらしきぬでもお取り扱いをしています。

  • コンビニだったりゴミ出しだったり、「ちょっとそこまで」というときも履きやすいですよね。冷えとり以外の習慣は何かありますか?

    私、早寝が苦手です(笑)夜って楽しいことが多いですよね。「どっかの国では今が朝だよ」って主人が言うんです。映画など見たいものがたくさんあり・・・夜はあっという間です。

  • そんな風に一日一日を楽しんでいる博子さんが素敵です。最後に、博子さんにとっての「ときめき」を教えていただけますか?

    「yum」です!食べることが大好きで、おいしいものは国を越えてみんなで楽しめることだなって思います。

博子さんのくらしきぬ愛用品

パイル先丸靴下!ふわふわと厚みがあって、肌触りが気持ちいいところがすきです!

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  • 取材・文章・撮影:
    佐藤文子

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